真実を知った夫は、愛する女を捨てて私のために復讐した

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真実を知った夫は、愛する女を捨てて私のために復讐した

GoodNovel 完結

私が死んでから五年、夫の深沢礼司(ふかさわ れいじ)はまたしても、幼なじみの篠原玲奈(しのはら れな)が起こした飲酒運転事件の罪を私になすりつけようとしていた。 捏造した証拠を手に、礼司は私の家へ押しかけてきた。だが家の中には私の姿どころか、人が暮らしている気配すらない。 仕方なく礼司は隣の佐藤さんの家のドアを叩いた。すると隣人は怪訝そうな顔で言った。 「深沢美羽(ふかさわ みう)さん?あの子なら、とっくに亡くなってるよ。 前の事件の被害者遺族が判決に納得できなかったらしくてね。出所したその日にさらわれて、三日三晩痛めつけられたそうだよ」 だが礼司は信じなかった。私が逃げるために、佐藤さんまで金で買収して嘘をつかせているのだと思い込んだらしい。 礼司は怒鳴り声を上げた。 「美羽から金をもらって、口裏を合わせてるんだろ! 隠れたって無駄だって伝えろ。三日以内に俺へ連絡してこなかったら、あのどこの馬の骨とも知れないガキの養育費なんて、もう一円も払わない!」 礼司は知らなかった。 玲奈が飲酒運転で轢き殺したのは、礼司が「あのガキ」と吐き捨てた、まさに私たちの子供だった。

チャプター (1)

第1章

私が死んでから五年、夫の深沢礼司(ふかさわ れいじ)はまたしても、幼なじみの篠原玲奈(しのはら れな)が起こした飲酒運転事件の罪を私になすりつけようとしていた。 捏造した証拠を手に、礼司は私の家へ押しかけてきた。だが家の中には私の姿どころか、人が暮らしている気配すらない。 仕方なく礼司は隣の佐藤さんの家のドアを叩いた。すると隣人は怪訝そうな顔で言った。 「深沢美羽(ふかさわ みう)さん?あの子なら、とっくに亡くなってるよ。 前の事件の被害者遺族が判決に納得できなかったらしくてね。出所したその日にさらわれて、三日三晩痛めつけられたそうだよ」 だが礼司は信じなかった。私が逃げるために、佐藤さんまで金で買収して嘘をつかせているのだと思い込んだらしい。 礼司は怒鳴り声を上げた。 「美羽から金をもらって、口裏を合わせてるんだろ! 隠れたって無駄だって伝えろ。三日以内に俺へ連絡してこなかったら、あのどこの馬の骨とも知れないガキの養育費なんて、もう一円も払わない!」 礼司は知らなかった。 玲奈が飲酒運転で轢き殺したのは、礼司が「あのガキ」と吐き捨てた、まさに私たちの子供だった。 第1章 飛行機が着陸するなり、礼司は荷物を置く暇すら惜しんで秘書に電話をかけた。苛立ちを隠そうともせず、開口一番問い詰める。 「美羽は?見つかったのか?」 電話の向こうで、秘書が言葉を濁した。 「社長、それが……まだ美羽さんとは連絡が取れていません……」 「役立たずが!」 予想外の答えに、礼司はぴたりと足を止めた。 「玲奈の飲酒運転の件が、どれだけ切羽詰まってるか分かってるのか? 早く美羽を見つけて身代わりにしないと、玲奈が刑務所に入ることになるんだぞ!お前たちは、黙ってあいつを見殺しにするつもりか!」 電話の向こうから、途切れ途切れに何かが聞こえてきた。 どうせ、意味のない謝罪でも並べているのだろう。 礼司は苛立たしげに吐き捨てた。 「もういい!お前たちには任せてられない。俺が直接行く!」 一方的に電話を切ると、そのまま車に乗り込み、かつて私と礼司が暮らしていた家へ向かった。 私は宙に漂いながら、慌ただしくエレベーターへ乗り込む礼司を眺めていた。その手には、すでに捏造された証拠が何枚も握られている。 冷たい顔には焦りがありありと浮かび、まるで自分だけが世界中から理不尽な目に遭わされているかのようだった。 礼司がここまで必死になるのは、玲奈のことだけなんだろうな。 「美羽!いるんだろ、出てこい!」 礼司は玄関のドアを乱暴に蹴り開けた。だが中はがらんとしていた。積もった埃すら、誰にも掃除されていない。 礼司は忌々しげに辺りを見回すと、一部屋ずつしらみつぶしに探していった。当然どこにも私の姿はない。 「隠れてるつもりか?いつまで逃げられるか見ものだな!」 あまりの騒ぎに、隣に住む佐藤さんが顔を出した。 「ちょっと、誰を探してるの?」 礼司はぎろりと睨むと、威圧的な態度で詰め寄った。 「美羽がどこにいるか知ってますよね?今すぐ出てくるように言ってください」 佐藤さんは眉をひそめた。 「深沢美羽さん?あの子なら、とっくに亡くなってるよ」 「死んだ?」 礼司は鼻で笑った。 「よくそんな嘘が思いつきますね。俺から逃げたいからって、死んだことにするつもりですか?」 佐藤さんはため息をついた。 「嘘じゃないよ。五年前に亡くなったんだ。 前の事件の被害者遺族が判決に納得できなかったらしくてね。出所したその日にさらわれて、三日三晩痛めつけられたそうだよ……」 その言葉を聞いた瞬間、礼司の表情が一瞬だけ固まった。 だがすぐにいつもの傲慢な顔へ戻る。 「ふん。美羽から金をもらって、口裏を合わせてるんだろ! たかが少し刑務所に入ってただけで、今さら被害者ぶるつもりかよ」 礼司のあまりにも当然といった口ぶりを聞きながら、私は心の底から冷えていくのを感じた。 少し、刑務所に入っていただけ? 私が何年も奪われたあの時間は、礼司にとってはほんの「少し」でしかなかったのか。 佐藤さんの顔も険しくなった。 「ちょっと、あんたねえ。こっちは親切で教えてあげてるのに、なんなのその言い草は。あの子は当時……」 けれど、礼司は聞く耳すら持たず、途中で遮った。 「もういい!隠れたって無駄だって伝えろ。三日以内に俺へ連絡してこなかったら、あのどこの馬の骨とも知れないガキの養育費なんて、もう一円も払わない!」 そう吐き捨てると、礼司は踵を返した。 怒りをぶつけるように、足音を響かせながら去っていく。 その後ろ姿を見送りながら、佐藤さんは呆れたように首を振った。 「でも……あの子なら、とっくに車に轢かれて亡くなってるのに……」 だが礼司はもう遠くまで行っていた。その言葉は、一つも届かなかった。 私は礼司の後ろを漂いながら、その怒りに満ちた背中を眺めた。ただただ疲れていた。 礼司は知らない。私は本当に死んでいる。 そして彼は、もっと知らない。彼が「あのガキ」と吐き捨てた子は、私と礼司の実の娘だった。 その娘を飲酒運転で轢き殺したのは、今まさに礼司が、何がなんでも守ろうとしている幼馴染の女、玲奈だった。 第2章 礼司はマンションを出ると、そのまま玲奈のマンションへ車を走らせた。 私は助手席に座り、ハンドルを握りしめる彼の手を眺めていた。指の関節が白くなるほど力が入り、唇はきつく結ばれている。 窓の外を流れるネオンが礼司の横顔を明滅させていた。だがその光さえ、冷えきった瞳の奥までは届かない。 「礼司、来てくれたの!」 ドアが開くなり、玲奈の偽善に満ちた顔が目に飛び込んできた。 ゆったりとした部屋着に、乱れた髪。ひどく憔悴した、いかにも可哀想な女を演じている。 そんな玲奈を見るなり、礼司の表情は一瞬で柔らかくなった。 彼は玲奈の頬に手を添え、信じられないほど優しい声で言った。 「心配するな。もう美羽を捜してる。必ずお前の身代わりにさせるから」 玲奈は礼司に抱きつくと、その首元に顔を埋めた。 「でも……もし美羽さんが嫌だって言ったら?」 「言わせるものか」 礼司はきっぱりと言い切った。 「従わせる方法なんていくらでもある。俺がいる限り、誰にもお前を傷つけさせない」 私は二人のそばに漂いながら、その言葉を聞いていた。魂まで震えそうだった。 そうだ。礼司にとって私は、玲奈を引き立てるための脇役でしかない。何かあれば代わりに傷つき、代わりに罪をかぶる。 私が存在する意味なんて、玲奈を守るため、それだけだった。 玲奈が顔を上げた。目元はうっすら赤く、今にも泣きそうな表情を浮かべている。相変わらず見事な演技だ。 「礼司、ごめんなさい。全部私が悪いの。あの日、お酒なんて飲まなければ……」 「お前は悪くない」 礼司は玲奈の頬を両手で包み、痛ましげに見つめた。 「悪いのは美羽だ。本当ならお前を助けるべきなのに、こんなときに姿をくらませやがって。見つけたら、ただじゃおかない」 目の前の女を、礼司はどこまでも優しく慰めていた。 昔は私にも、同じようにしてくれたのに。私の頬を両手で包み、俺にとって美羽が一番大切だ、とそう言ってくれたこともあった。 あの頃、礼司は起業に失敗したばかりで、毎晩のように眠れずにいた。 そんな彼のそばにいたのは私だった。何度も何度も同じ言葉をかけた。 「大丈夫。私がいるから」 やがて礼司は事業を成功させた。だがその頃にはもう、彼の目に私は映っていなかった。 玲奈が帰国した日、礼司は会社の会議すら取りやめ、空港まで迎えに行った。 玲奈は彼にこう嘘をついた。昔、礼司のもとを去ったのは、自分が重い病気にかかっていて、迷惑をかけたくなかったからだと。 礼司はそれを疑いもしなかった。玲奈をひどく不憫に思い、罪悪感まで抱いた。 それからというもの、礼司の優しさも、気遣いも、愛情も、何もかもが玲奈だけのものになった。 あの頃、私は妊娠していた。出産を目前に控えたある日、事故に遭った。 すると玲奈は礼司に、もしかしたらお腹の子供は別の男との子で、妊娠した時期をごまかすためにわざと事故を起こしたのかもしれない、と吹き込んだ。 あまりにも馬鹿げた話だった。それなのに礼司は信じた。 そのときにはもう分かっていた。礼司の心の中に、私と娘の深沢ひなた(ふかさわ ひなた)の居場所なんて、少しも残っていないのだと。 夜が更ける頃、玲奈は礼司の腰に腕を回し、わざと艶を含ませた声で囁いた。 「礼司って、本当に優しいね」 礼司は玲奈を抱き寄せ、小さく答えた。 「これくらい当たり前だ」 玲奈の手がゆっくりと礼司の服の裾から中へ滑り込んでいく。 礼司は拒むどころか、自ら体を寄せて彼女を受け入れた。 私は顔を背けた。もう見たくなかった。 かつて礼司は、こうして私を抱きしめながら言った。一生、一緒にいようと。 それなのに今では、玲奈のために妻の命を差し出せと言われても、きっと彼は迷うことなく頷くのだろう。 その瞬間ふと思った。もしいつか礼司が真実を知ったら? 自分が命がけで守ろうとしている玲奈こそ、実の娘を轢き殺した張本人だと知ったら? 礼司はいったいどんな顔をするのだろう。 第3章 玲奈の事件は一刻を争う状況で、礼司は彼女のために奔走していた。 だがどれだけ捜しても、私の行方は一向につかめない。 オフィスでは、秘書が書類を抱えたまま、怯えた様子で報告していた。 「被害者遺族側が、急に新しい弁護士をつけました。かなり強硬な姿勢です。相手は決定的な証拠を握っているようで……玲奈さんにはかなり不利な状況です」 「弁護士?」 礼司は鼻で笑った。 「どんな弁護士だろうが、金でどうにでもなる。会う約束を取りつけろ。俺が直接話す」 勝利を確信しているかのような顔で、礼司はカフェへ向かった。 だが向かいの席に座っている男を見た瞬間、その顔色が変わった。 「悠人?なんでお前がここにいるんだ!」 私も少し驚いた。 一ノ瀬悠人(いちのせ ゆうと)は、大学時代の同級生だった。当時、彼は長いこと私に想いを寄せてくれていた。 何度も告白されたが、あの頃の私の心には礼司しかいなかったから、そのたびに断っていた。 もちろんそのことは礼司も知っている。だから昔から、悠人に対してどこか敵意を抱いていた。 一方の悠人は、礼司が来ることを最初から分かっていたらしい。 ゆっくりとコーヒーをかき混ぜながら顔を上げると、口元に皮肉な笑みを浮かべた。 「どうした。そんなに意外か?」 礼司の表情が一気に冷えた。 「いつ帰国した?」 「昨日。この事件にお前が関わってるって聞いて、すぐ飛行機を取った」 悠人はスプーンを置き、鋭い眼差しを礼司へ向けた。 礼司も怯むことなく睨み返す。 「どういう意味だ?」 悠人はかすかに笑った。 「別に。ただ、この裁判だけは絶対に負けるわけにはいかないと思ってるだけだ」 「悠人!何年経っても、まだ俺に嫌がらせするつもりか!」 「嫌がらせ?」 悠人は落ち着いたまま椅子の背にもたれ、首を横に振った。 「勘違いするな。俺はただ、あの二人のために正義を取り戻したいだけだ」 焦っていたせいか、礼司は、悠人が「あの二人」と言ったことにまるで気づかなかった。 礼司は冷笑すると、指先が相手の鼻先に届きそうなほど詰め寄った。 「正義の味方ぶるなよ。どうせ俺に復讐したいだけだろ!」 そう言った直後、何かとんでもないことに気づいたように目を見開く。 「まさか、お前がここまで俺の邪魔をするのって……あのガキがお前の子だからじゃないだろうな?俺を潰して、そのあと美羽と一緒になるつもりか!」 悠人は固まった。しばらく礼司を見つめたまま、何も言わない。 その目に浮かんでいた驚きは、やがて哀れみへと変わり、最後にはあまりの馬鹿馬鹿しさに笑いすら滲んだ。 「礼司……お前、本当にあの子が誰の子か知らないのか?」 礼司は眉をひそめた。 「何の話だ?」 悠人は答えなかった。ただ、すっと立ち上がる。そして去り際に、一言だけ吐き捨てた。 「美羽も、よくお前みたいな男と結婚したな」 そう言い残すと、振り返ることなく店を出ていった。 礼司はその場に立ち尽くしたまま、顔を真っ赤にして悪態をついていた。 「何を気取ってるんだ。誰にも相手にされないくせに。何年も結婚してないのだって、ずっと人の妻に未練があるからだろ!」 私はそばに漂いながら、遠ざかっていく悠人の背中を見た。それから、怒りで歪んだ礼司の顔へ目を向ける。そしてふと思った。 本当にその通りだ。私はどうしてこんな男と結婚したのだろう。 昔は、礼司こそ世界で一番優しい人だと思っていた。 だが実際の彼は、一人の女のために平気で嘘を重ねるし、良心も、道徳も、人として守るべき一線さえも、すべて捨てられる男だった。 第4章 礼司はカフェを出ると、今にも雨が降り出しそうなほど険しい顔をしていた。 悠人を説得するのは無理だと分かり、別の手を考えるしかなくなったのだ。 「礼司、どうだった?」 いつの間にか玲奈が背後に立っていた。顔には不安を浮かべているものの、その瞳の奥には何かを企むような光が宿っている。 礼司は一瞬驚いたあと、深く息を吐いて首を振った。 「悠人は無理だ。あいつ、本気でお前を追い詰めるつもりらしい」 玲奈の顔からさっと血の気が引いた。すぐに礼司の手をつかみ、震える声で言う。 「礼司……じゃあ私はどうすればいいの?刑務所なんて行きたくない……」 礼司は眉を寄せながらも、なだめるように玲奈の手を軽く叩いた。 「焦るな。まだ他に方法はある」 玲奈は少し考えるように目を動かしたあと、突然声を潜めた。 「ねえ礼司、美羽さんって娘がいたよね?確か……ひなたちゃん?」 礼司の表情が止まった。 「何が言いたい?」 「その子を使って美羽さんを脅せば、絶対に出てくるよ」 玲奈は確信したように続けた。 「あの子のこと、すごく可愛がってたじゃない。見捨てるわけないよ」 私は玲奈の隣で、その頬を思いきり叩いてやりたい衝動に駆られた。 ひなたはまだあんなに幼い子なのに、どうしてこの女は子どもの命まで脅しの道具にできるのか。 礼司もさすがに迷ったのか、すぐには頷かなかった。 「でも……相手は子どもだぞ」 その瞬間、玲奈はすかさず彼の言葉を遮った。そしていつものように自分から身を引くふりをして、目に涙を浮かべる。 「礼司……やっぱり私が刑務所に入ればいいって思ってる?美羽さんのほうが、私より大事なんでしょ?昔、あなたから離れたのは私が悪かった。でも今は、本当にもう頼れる人がいないの……」 この顔だ。玲奈がこういう表情をすれば、礼司はいつだって折れる。 案の定、礼司の顔から迷いが消えていった。 彼は玲奈の頬に手を添え、痛ましげに言った。 「何を言ってる。俺がお前を見捨てるわけないだろ」 玲奈はその手を両手で包み、弱々しく囁いた。 「礼司……私には、あなたしかいないの」 礼司は一度目を閉じた。そして再び開いたときには、瞳に残っていたためらいは完全に消えていた。 「行くぞ。学校へ」 だが二人の思惑どおりにはいかなかった。 学校の応接室で、礼司の話を聞いた校長と担任教師は顔を見合わせた。 「ひなたさんですか?もう一か月ほど登校していません」 礼司の顔色が一変した。 「一か月も学校に来てないって、どういうことですか!あなたたちは何をしてたんです?児童がいなくなってるのに気づかなかったんですか!」 突然の怒声に、校長はたじろいだ。慌てて説明する。 「こちらから保護者には何度も連絡しています。ただ、ずっと電話がつながらなくて……それに、学校の記録ではお母さまはすでに亡くなられています。父親の欄も空欄になっていますので……」 礼司の瞳が大きく揺れた。無意識に握った拳に力が入る。 「今、なんて言いました?母親が……死んでる?」 校長は頷いた。 「はい。記録上では五年前に亡くなられています」 礼司の呼吸が一瞬止まった。頭の中で何かが崩れたように、呆然としている。 それでもきっとまだ信じていなかったのだろう。 礼司の中の私は、臆病で、自分の命が何より大事で、どんなことをしてでも生き延びようとする女だった。そんな私が、簡単に死ぬはずがない。そう思っていたに違いない。 「ありえない!嘘だ!美羽が死ぬわけない!お前たちも美羽と口裏を合わせてるんだろ!」 突然の怒りに、校長は慌てて両手を振った。 「いえ、こちらが嘘をつく理由なんてありません。記録にもきちんと残っていますので……」 だが礼司はもう聞いていなかった。そのまま踵を返し、部屋を飛び出していく。玲奈が驚いて後を追った。 「礼司!どこに行くの?」 礼司は振り返りもせず、怒りを押し殺すように吐き捨てた。 「美羽が本当に死んでるのか、俺が自分で確かめる」

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